専攻医の方の学びの機会
▶両プログラムの概要
当センターの提供する初期研修終了後の研修プログラムとして、いわゆる新専門医制度における基本領域の一つである総合診療専門医を養成するためのプログラムである総合診療専門研修プログラム「みのひだ地域医療総合診療専門研修」(⇒詳細はこちら)と、いわゆる学会認定後期研修プログラムで家庭医療専門医を養成する日本プライマリ・ケア連合学会後期研修プログラムVer2.0「県北西部地域医療センター地域医療後期研修プログラム“さくら道”」(⇒詳細はこちら)があります。おおむね前者が2016年以降の医師免許取得者が、後者が2015年以前の医師免許取得者が対象となります。
両プログラムは専門医制度によって医師免許取得年度による適用プログラムに違いがあるものの、その理念や目標、方略に大きな違いはありません。
▶プログラムの理念
キーワードは「繋ぐ!」、これが私たちの提供するプログラムのコアな理念です。
このキーワードは、基幹医療機関である県北西部地域医療センター国保白鳥病院のある岐阜県郡上郡白鳥町(現:郡上市)出身の国鉄バス名金急行線の車掌・佐藤良二さんが岐阜県荘川村(現高山市)にある御母衣ダム建設によって水没する集落の象徴だった桜の木(荘川桜)がダムの畔に移植され見事に開花したことに感動し、「太平洋と日本海を桜で繋ごう」と1967年から名金急行線の沿線、名古屋市から金沢市まで桜の苗木を植え始め、1977年に47歳で亡くなるまでに約2,000本の桜を植えた出来事「さくら道」に由来し、地域と地域を繋ぎ、そこにある医療機関と地域の様々な資源を繋ぎ、更には地域の枠組みを超えて繋がれた医療機関同士のネットワークによって目の前の人の、目の前の地域のQOLを支えることを重視しようというものです。具体的には、「小児期から終末期までを繋ぐ」「医療と生活の場を繋ぐ」「保健・医療・福祉を繋ぐ」「多くの職種を繋ぐ」「地域住民と行政、医療者を繋ぐ」「総合診療と臓器専門医療を繋ぐ」「初期研修とその後の医師人生を繋ぐ」そして、こうしたつながれたネットワークによって「人と人を、地域と地域を、そしてそこに生活する人と家族と地域を繋ぐ」ことに重きを置くプログラムです。
▶プログラムの研修目標
その目指す医師像は私たちの提唱する地域医療の特徴を示すABC in Community Based/Oriented Medicine(当法人について→地域医療について参照)に準じて地域医療・へき地医療に取り組む医師であり、プログラム終了後には地域を基盤とした地域医療総合専門医として、独り立ちして地域を背景に持った診療所ないしは小病院運営ができることを目標としています。
▶プログラムの特徴
私たちのプログラムが展開されるエリアは、いずれも岐阜県の山間地域であり緑豊かで自然いっぱいの地域です。こうしたなかで、都市部医療とは異なり、それぞれの医療機関が所在している地域に丸ごと関わり、住民の方々の日常に寄り添いながらの地域医療・へき地医療に取り組むことが可能であるとともに、公立医療機関であることから行政との連携も学ぶことができます。一方、少子高齢化人口減少を日本の中でも先取りしている地域であり、そういった意味での最先端地域でどのような地域医療を展開すべきか、まさに日本の将来の地域医療を担う学習ができるプログラムでもあります。
▶プログラムの流れ
おおむね3年間の研修の流れは以下のようになります。ただし総合診療専門研修Ⅰ、Ⅱ、必須領域別研修のローテーション順は専攻医の希望などにより変更することがあります。
1st step:必須領域別研修を通して目の前の患者の健康問題を、指導や関連職種との連携の中で迅速かつ正確に同定し、マネジメントすることができることを目標とします。
2nd step:総合診療専門研修Ⅱを通してよりコモンな急性疾患あるいは慢性疾患のマネジメント能力を高め、その際に家族や地域といった患者背景や、地域の様々な資源にも目を向けながら取り組めるようになることを目標とします。
3rd step:総合診療専門研修Ⅰを通して我々の提唱する地域医療の特徴を示すABC in Community Based/Oriented Medicineの実践を積み重ね、こうした視点を持って目の前の患者、その患者を取り巻く家族、更には地域といった方向と、地域、そこに生活する家族、その中の一員である目の前の患者といった方向、両方向を意識したマネジメントができることを目標とします。
▶プログラム責任者
伊左次悟(県北西部地域医療センター国保白鳥病院総合診療科部長)
総合診療専門研修プログラム
「みのひだ地域医療総合診療専門研修プログラム」
▶プログラムの概要 詳細はこちらから
いわゆる新専門医制度における基本領域の一つである総合診療専門医養成のためのプログラムです。したがって主に2016年以降に医師免許を取得した方が対象となります。
<ローテーション例>
1年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
領域 | 内科 | ||||||||||||
施設 | 岐阜県総総合医療センター or 中濃厚生病院 | ||||||||||||
2年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
領域 | 救急 | 小児科※※ | 総合診療専門研修Ⅱ | ||||||||||
施設 | 岐阜県総合医療センター or 中濃厚生病院 | 県北西部地域医療センター国保白鳥病院 | |||||||||||
3年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
領域 | 総合診療専門研修Ⅰ | ||||||||||||
施設 | いずれかの連携診療所※ |
※和良診療所、高鷲診療所、荘川診療所、白川診療所、平瀬診療所、高根診療所、久々野診療所、朝日診療所、小坂診療所、東白川診療所
※※小児科研修は県北西部地域医療センター国保白鳥病院でも可
・領域別研修(内科・小児科・救急)は県総合医療センター、中濃厚生病院から選択、なお小児科研修に限っては県北西部地域医療センター国保白鳥病院でも可
・総合診療Ⅰ実施期間中に週1日程度の国保白鳥病院ないしは県総合医療センターなどでの各科研修を含む
・総合診療Ⅱ実施期間中に数日間の行政(郡上市健康福祉部)での研修を含む
日本PC連合学会後期研修プログラムVer2.0
「県北西部地域医療センター地域医療後期研修プログラム“さくら道”」
▶プログラムの概要
いわゆる学会認定後期研修プログラムで学会認定の家庭医療専門医養成のためのプログラムです。したがって主に2015年以前に医師免許を取得した方が対象となります。
<ローテーション例>
1年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
領域 | 内科 | 小児科 | 救急 | ||||||||||
施設 | 岐阜県総合医療センター or 中濃厚生病院 or 岐阜大学附属病院 or 自治医科大学付属病院 | ||||||||||||
2年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
領域 | 総合診療専門研修Ⅱ | ||||||||||||
施設 | 県北西部地域医療センター国保白鳥病院 | ||||||||||||
3年目 | 月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
領域 | 総合診療専門研修Ⅰ | ||||||||||||
施設 | 白鳥病院 or 和良診療所 or 和良診療所6か月+白川診療所・平瀬診療所6か月 |
・領域別研修(内科・小児科・救急)は県総合医療センター、中濃厚生病院、岐阜大学附属病院あるいは自治医科大学附属病院から選択
・県総合医療センターあるいは自治医科大学附属病院選択の場合は内科6ヶ月、小児科3か月、救急3か月、岐阜大学附属病院選択の場合は内科6ヶ月、小児科3か月、救急4か月の予定
・自治医科大学付属病院での研修の場合小児科は芳賀赤十字病院となる
・総合診療Ⅱ実施期間中に週1日の兼任研修を含む