学習者の広場
当センターで学びの時間をもっていただいた方々のページです。彼ら彼女らの声を読んでいただいて当センターでの学びの雰囲気を感じ取っていただければと思います。
2023.8.21~9.1 馬島 有里 さん(自治医大5年生)

厚生労働省の定めた地域医療研修での到達目標は、地域医療を必要とする患者とその家族に対して全人的に対応するために、①患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療について理解し、実践する、②診療所の役割について理解し、実践する、③僻地、離島医療について理解し、実践することである。これらの到達目標について私は、今回の実習を企画してくださった先生方、熱心に御指導くださった現地の先生方・医療スタッフの皆様、実習に協力し、暖かく受け入れてくださった患者様・地域の皆様のおかげで、有意義な学びを得たと、胸を張って言えるだろう。当初、地元の地域で医療に貢献することを自ら志し自治医科大学に入学し勉強をすすめてきたものの、学年が上がり、地域の実態や自分の将来のビジョンが見えるにつれ、地域医療に従事することに対する後ろ向きな気持ちが、少しずつ大きくなってきていたことは間違いない。それは、本院病棟での実習で学んできたことと大きく異なる環境や、僻地の医師の減少による需要・責任役割の多さ、普段とは違う生活環境、すでに出来上がった地域のこコミュニティに参入できるかという不安等、さまざまな要因が実際に考えられるようになってきたためである。しかし、2週間の地域医療研修が終わった今、地域医療に対する考えが大きく変わり、卒後の勤務に大きな期待を馳せている。卒後一定期間地域医療に従事することは、総合的な診療能力の向上や僻地での医療需要に大きく関与でき、自分の医師人生においてとても重要な役割を果たしてくれるだろうと思えるようになった。
2040年にかけて岐阜市等都市部では、後期高齢者数が現在より13000人強増えると予想されており、今回訪れた郡上市ももれなく、ほとんどの地域で増加が見込まれている。それに対し、生産年齢人口は減少すると言われている。ここで問題となるのは、高齢者の増加による回復期病床ニーズの高まりと、それを支える医療人材の確保である。厚生労働省の令和3年度のデータによると、全国の医師数、医学部入学定員、地域枠いずれにおいても増加している。一見、医師の絶対数は増加しているが、それが実際、地域における医師の供給に繋がるわけではない。実際、僻地の集落は短時間では消滅しない(したとしても何十年で数%減少にも満たない)ため、地域における医師需要は減少しないのに加え、地域枠の離脱問題も後を立たない。地域での医師の人材を確保するためには、本当に地域医療に関心のある人材が必要であり、単に僻地勤務を義務化するのではなく、今回のような充実した地域医療研修を実施し、少しでも地域医療の実態を学び、理解し、関心をもつ機会を与えることが重要なのではないかと考える。実際に自分も、患者様や医療スタッフの皆様との交流により、地域医療に従事するモチベーションが生まれたのである。まずは幅広い分野の普遍的な疾患を診る能力、二次・三次医療への引き継ぎを行う能力を地域で養えることは、自分の医師としてのキャリア形成において、とても大きな役割を果たしてくれるのではないだろうか。そんな期待を胸に馳せながら、本院での実習も、これまで以上に精進していきたい。(写真向かって右が馬島さんです)
2023.8.21~9.1 永井 航太 さん(自治医大5年生)

今回の実習で最も感じたことは、診察室は患者さんにとってイベントであるということでした。医師が診察室でできることには限りがあります。本当に関わらなければいけない方が診察室に来てくれるとも限りません。患者さんは日々「日常」を過ごしています。地域医療において最も大事なことは、来院される患者さんに限らず、地域に住む皆さん全員の「日常」に影響を与えることだと感じました。訪問介護などで他職種の方の業務を見学させていただき、その「日常」との近さに驚きました。また行政とも協力し、様々な職種の方が関わっていることを知りました。医療・福祉・介護の枠にとらわれず、多職種と連携すること、何より患者さんの「日常」に関わることが重要だと学びました。
大学病院での実習を重ねるうちに、地域医療についての自分の考えが曖昧になっていることを感じていました。本実習ではそれを考え直すことができ、大変貴重な経験となりました。実習に関わっていただいたスタッフの皆様、そして地域の皆様に心からお礼申し上げます。 (写真向かって左が永井さんです)
2023.8.21~8.22 林 花音 さん(愛知医科大学2年生)

今回実習させて頂いた国保白鳥病院では今まで見学させて頂いた市立恵那病院、新城市民病院と比較して、非常に暖かな雰囲気を持っており、院内では職種問わず色々な方が挨拶し合う光景を朝早くからお見受けしました。
まず、1 日目の実習で総合診療科の外来を見学させて頂いた際には、検査結果を患者さんに説明する機会を担当の先生に頂いたことで、分かりやすく簡潔に患者さんに伝えるにはどうしたら良いのか考えることができ、非常に貴重な体験をさせて頂きました。また入退院時に行われる、ソーシャルワーカーと患者さんのご家族での話し合いでは患者さんに少しでも良くなってもらいたいと思うご家族の切実な思いを感じ、ご家族に対して丁寧に説明なさっていた看護師さんやケアマネジャーさんの知らなかった役割を学ぶことができました。最後に病棟では看護師さんと行動をともにすることで「要介助」「見守り」「自立」の違いを直接目にし、患者さんの身体能力の目安を知ることができました。
そして、2 日目の実習でデイケアの見学をさせて頂いた際には、デイケアが想像以上に多職種の方々同士で協力し合って行われていることを知り、スタッフの方々がよくコミュニケーションを取り合って、お互いを尊重し合いながら働いてらっしゃることが分かりました。また参加者の方々とたくさん交流することができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。その後の訪問診療では医師に患者さんとそのご家族とお話する機会を頂き、研修医の先生の説明を受けながら、患者さんの現状についてお話ししたり、カルテを記入したりしました。研修医の先生はADL の評価方法などをお教え下さっただけでなく、カルテを記入する際には私の意見も盛んに取り入れてくださりました。(写真前列向かって左が林さんです。前列右:左次先生、後列右:宮田愛知医大教授、後列左:後藤先生)
2023.8.7~8.8 木谷 明日香 さん(愛知医科大学2年生)

総合診療科では糖尿病患者さんが多く、定期診察していらっしゃって、糖尿病の進行による疾患「しめじ」つまり糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症が進んでいないかを確認していらっしゃいました。眼科を紹介などしていらっしゃって、総合診療科ではできないことは他にまわすなどして対応しているんだな、全てを見るわけではないことに驚きました。総合診療科では心房細動・動脈硬化・骨粗鬆症などの基本的な疾患を経過などを見ていらっしゃって今習っている基本的な知識が大事なことに気付きました。カリウムが多いと心臓の病気にもつながってしまうというのは、心筋の興奮が低下してしまうからと生理で習った知識がこのように役に立っていくんだなと感じました。カリウムは生野菜に多く含まれていて、こういう知識も患者さんに伝えるために必要なんだなと感じました。
訪問看護ではバイタルをとって前と変わったことがないかなど本人だけではなく、家族等にも聞いていました。一軒一軒時間をものすごくかけるという印象があったのですが意外と次から次へと回っていったのは印象的です。先生も患者さんの家に対してマップなしで行っていたので患者さんと何回にもわたってコミュニケーションをとり患者さんのことをしっかりわかっていらっしゃるおかげなのかなと思いました。
予算があまりないということで色々な工夫をされていて、窓拭き・目安箱の集計などは職員が当番でやっていらしたり、患者さんや職員さん達が植物を植えたり水やりをしたり野菜を収穫したりといったほかの病院ではやらなさそうなことをやっていらっしゃって面白みを感じました。
高鷲診療所では医師が患者さんに対して絵を用いて医療用語などを使わずに簡単にわかりやすいように説明して、何回も説明することで大きな病院に行ってもらえるような呼びかけをしていたのが印象的です。(写真中央が木谷さん、向かって左が宮田愛知医大教授、右が後藤先生)
2023.8.3~8.4 寺島 千尋 さん・棚橋 由衣 さん(愛知医科大学1年生)

寺島千尋さん(写真向かって左)
私は地域医療に興味を持っていますが、普段生活している場所と学んでいる大学は都会にあるため実際の地域医療の現場を見ることや触れることは今回の実習が初めてのことでした。この2日間を通して、短期的、集中的に医療を行う大学病院とは異なり、地域の人に寄り添って医療を通して⾧期的に関わっていくことが地域医療なのではないかと考えました。在宅医療には医師以外にも看護師やヘルパーなどといった多くの職種の人が関わっているので、患者さんの病状の変化にいち早く気づき対応するためには多職種の人との情報共有を含めたコミュニケーションが不可欠であると訪問看護の看護師さんのお話から感じました。また在宅診療の見学により高齢者の病気や転倒などの外傷に至らないようにするために生活の指導を行うことも地域医療に従事する医師にとって重要な仕事だと思いました。診療所と訪問診療・訪問看護の両方を見学させていただきましたが、関係の深さを考慮しても在宅で家にいる患者さんのほうが自分から積極的にお話をされていることが多く患者さんの話しやすい環境を作ることも医療を提供する際に大きく関わってくると感じました。今回の実習で見学させていただいた患者さんに寄り添う皆さんの姿を将来の目標にして今後の勉強を頑張っていきたいと思います。
棚橋由衣さん(写真向かって右)
地域医療の見学は初めてで何もかもが新しく感じました。デイケアの実習では実際に患者さんと接する機会があり、最初は緊張していて何を話せば良いかわからず困惑していましたが、デイケアの明るい雰囲気や患者さんから声をかけて下さったおかげで、少しずつ患者さんとの距離を近づけることが出来ました。また実際に患者さんの血圧を測定させていただく機会もありました。病棟看護実習では患者さんの傷の処置をする際に患者さんの不安を和らげるために治療中声を掛け続けていた場面が印象に残りました。総合診療外来実習では、主に定期診療で来院された患者さんの診察見学をしました。ただ診察するだけでなく雑談を通して患者さんが日々どんな生活をしているかを聞き、それぞれの患者さんが普段の生活でできる範囲の対策や治療を考えていました。患者さんとの何気ない会話も重要であることに気づくことが出来ました。訪問医療では老老介護の現状を知り、地域医療や訪問医の重要性を感じることが出来ました。2 日間の短い期間でしたが、有意義な実習になりました。来年もこのような実習の機会があれば参加して、今回と来年の実習での感じ方の変化を見たいと思いました。
2023.5.8~5.19 山藤 洋典 先生(中濃厚生病院初期研修医)

最も印象に残ったことは?
先生方の患者さんに対する温かい接し方が印象的でした。急性期病院では、安定している患者さんにかける時間はどうしても少なくなりがちですが、一人一人に丁寧に診察しないといけないなと感じました。
地域医療に関して感じたことは?
こんなところに診療所があるのか!と驚きを感じました。そのようなへき地でも医療は求められ、限られた時間、医療資源の中でどこまで患者さんのニーズに応えられるかが大事かと感じました。
感想を!
先生方がとても優しく指導してくださり、大変いい環境で研修を行うことができました。総合診療医、家庭医に対する興味が深まり、僕も目指したいと感じました。またどこかで関わることがあるかと思いますので、またよろしくお願いします。2週間という短い期間でしたが、ご指導ありがとうございました。(写真向かって右が山藤先生です)